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CATEGORY :【 Other 】
2016.12.31

連載コラム【音楽のある風景】 Vol.56


グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、

選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

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どうぞお楽しみください!

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12月の選曲は、かけめぐる思い出と熱き心と優しさに「祝福あれ」と。
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年の瀬を迎え、2016年はプリンスを始め自分にとって大切なアーティストが次々に亡くなってしまったな、と一年を振り返っていたら、個人的にも親交があり、最も敬愛してやまない人生レヴェルで影響を受けた方の訃報が、パリから届きました。クロード・ルルーシュ監督の1966年のフランス映画『男と女』でのアヌーク・エーメとの共演、“ダバダ ダバダバダ ダバダバダ”というスキャットも印象的なその主題歌の作詞・歌で広く知られるシンガー・ソングライターで、俳優・映画監督でもあるピエール・バルーさんです。

日本では高橋幸宏さんや加藤和彦さん、大貫妙子さんや立花ハジメさん、YMO/ムーンライダーズ/マライア周辺とのコラボレイションでも人気の高いピエールさんですが、僕が最も愛着を感じてやまないのは、フランス最古のインディー・レーベルと言われる、サラヴァの主宰者としての顔。ボサノヴァを始めとするブラジル音楽の魅力をヨーロッパに伝えたことも、ピエールさんの大きな功績なのですが、彼がブラジルへ旅してバーデン・パウエルら偉大なミュージシャンたちと交流を深める様子をとらえた16mmのドキュメンタリー・フィルム、『SARAVAH』を初めて観たときの感激は忘れられません。とりわけ胸に沁みたのは「Samba Saravah」が流れる感動的なフィナーレ。まさに生涯の一曲で、大学生のときに『SARAVAH』を観なかったら、今ほど音楽に夢中になることはなかったでしょう。

「Samba Saravah」の中で繰り返し唱えられる「Saravah」というフレーズは、ポルトガル語で敬愛する人物に対する“祝福あれ”という讃辞。僕ら友人仲間では合言葉のようになっているのですが、今ピエールさんに捧げたい言葉も、やはり感謝の思いをこめた「Saravah」しかありません。カフェ・アプレミディのアニヴァーサリー・パーティーでこの曲を歌ってくださったときの柔和な表情を思い浮かべながら、そのシーンを撮った写真を眺めていると、そこに秘められた熱き心と優しさを思わずにいられません。

僕はこれまでにサラヴァ・レーベルのコンピレイションを4枚選曲させてもらっていますが、この年末年始はそのジャケットをベッドサイドに飾って、喪に服そうと思います。本当に様々な思い出がかけめぐり、様々な思いがこみ上げます。サラヴァとは「出会いの芸術」であり、人生という旅のような音楽(ピエールさん自身もかつて、サラヴァはこれまで生きてきた中で最も美しい冒険だった、と著しています)。ご自宅に何度もおうかがいして一緒にすごさせていただいた時間は、人生の糧になっています。

そう、ピエールさんの言葉は人生の道しるべ。自分を信じ、一期一会を信じ、自由に生きることを学びました。何度聴いても心が涙してしまう「Saudade」は一生の名曲、自分の還る場所です(『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ』では「Samba Saravah」へと連なります)。最期のとき、救急車で搬送される間も、その場にいる人たちを心配させないように、フランソワーズ・アルディーも歌った自身の曲「水の中の環(Des ronds dans l’eau)」を優しく口ずさんでいたというピエールさん。心よりご冥福をお祈りいたします。

追記:
先月のこのコラムで詳しくご紹介した、僕の最新コンピレイション『Good Mellows For Stardust Memory』が、クリスマス前に無事にリリースされました。初めてウィンター・シーズンを意識して、“星降る夜の音楽紀行”をテーマに選曲したこのコンピ、僕はさっそくヘヴィー・ローテイション。旅先のドライヴでも冬の夜にベスト・マッチでした。前回、ナット・キング・コールらの歌った名スタンダード「Stardust」の歌詞が、村上春樹の小説のモティーフにならないかな、と書いたことへの共感の声が寄せられたのも嬉しかったです(もちろん内容のみならず、美しいジャケットへの称賛の声も、たくさんいただいています)。身も心もじんわりと温もりを帯びていくような、とっておきの珠玉のメロウ・チルアウト・セレクションを、ぜひご堪能ください。

また、僕の監修するアプレミディ・レコーズから、「新しいフォーキー・ソウル」の決定版として年間ベスト級と絶賛され、テリー・キャリアー〜ダニー・ハサウェイ〜ビル・ウィザース〜マーヴィン・ゲイ〜カエターノ・ヴェローゾらと並び称されるNYの黒人シンガー・ソングライター、ジェイムス・ティルマンの名作ファースト・アルバム『Silk Noise Reflex』が世界初CD化されました。しかも僕やジャイルス・ピーターソンがコンピに選出していた2013〜14年の至宝5曲もボーナス収録した、キャリア完全版という形で。エレガントかつシルキーな歌声、クールなジャズ感覚、ボーダーレスな感性で構築されたハイブリッドなトラック、きめ細かく繊細な音響空間まで、すべてが素晴らしい一枚ですので、こちらもぜひどうぞ!


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12月の選盤

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ヨーロッパ最古のインディー・レーベルとして1966年にピエール・バルーによってフランスに設立され、半世紀にわたってジャズ/ボサノヴァ/フレンチ・ポップス/ワールド・ミュージックなど多岐におよぶ名盤を誕生させてきたサラヴァ・レーベルの音源から、橋本徹さんがとびきりの名作群を選りすぐったコンピレイション4枚、2001年制作の『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ』『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ 2』と2012年制作の『モンマルトル、愛の夜。』『サンジェルマン、うたかたの日々。』

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星降る夜の音楽紀行、甘美な瞬きにひとさじのセンティメントが入り混じる胸を打つビートと麗しのメロディー、ロマンティックで夢見心地な音の桃源郷へと誘ってくれる珠玉のメロウ・ビーツ〜バレアリック・アンビエント〜チルアウト・ハウス〜ジャジー・ブレイクス〜アーバン・ビートダウンを、橋本徹さんが美しく幻想的なかけがえのない思い出のように紡いだ、傑作揃いの極上コンピレイション『Good Mellows For Stardust Memory』

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2010年代半ばを象徴する絶品のジャジー・フォーキー・ソウルと称賛され、テリー・キャリアー〜ダニー・ハサウェイ〜ビル・ウィザース、ジェシ・ボイキンス3世〜クリス・ターナー〜マイケル・キワヌーカ、さらにはマーヴィン・ゲイ〜カエターノ・ヴェローゾの名も引き合いに出される、USインディーやブラジル音楽をも取り入れた極めて現代的なヴォーカル・アルバムの名盤に、珠玉のボーナス音源5曲も加えて橋本徹さん監修のアプレミディ・レコーズから世界初CD化されたジェイムス・ティルマン『Silk Noise Reflex』

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橋本徹 (SUBURBIA) 
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。 
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは330枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。 
http://apres-midi.biz 
http://music.usen.com/channel/d03/ 

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