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CATEGORY :【 Other 】
2016.05.31

連載コラム【音楽のある風景】 Vol.49

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

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どうぞお楽しみください!

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5月の選曲は、自然の美しさに感銘を受けて生まれた、ただただ美しい音楽を。
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GWがずいぶん昔のことに思えてしまうほど、忙ただしくも瞬く間に過ぎていった今月。4月はたくさんDJしましたが、5月はたくさんライヴを観ることができました。とりわけこの季節、気持ちのよいオープン・エアで音楽を満喫するのは素晴らしいことですね。

さて今回は、Suburbia Recordsからまもなく世界初CD化が実現する、イタリアのリヴィング・レジェンドにして名アンビエント・プロデューサー、Gigi Masin(ジジ・マシン)の伝説的なファースト・アルバム『Wind』について、ご紹介したいと思います。

これは1986年にインディペンデント・レコードとして極少数プレスされたものの、在庫のほとんどがヴェネチアの洪水によって失われてしまい、その群を抜いた中身の素晴らしさも相まってマニアの間で評判を呼び、超に超がつくほどのコレクター垂涎の幻のレア盤として、知る人ぞ知る存在だった名作。その内容をひとこと表現するなら、チルアウト・メロウ・ピアノ・アンビエントの最高峰。ひたすら美しくメランコリックな旋律と音のレイヤーが描く儚くも琴線に触れる心象風景、リリカルで叙情性に富んだ、メロディアス&ジャジーに揺らめくシネマティックな音像に惹きこまれる、正真正銘の大名盤です。

それは、Gigi Masinが失恋後にサルデーニャ島で休日を過ごし、自然の美しさに感銘を受けて生まれた音楽でもあります。しかもこの復刻CDは、ご本人の全面協力のもと(心から感謝です!)、昨夏の僕の選曲コンピ『Good Mellows For Sunset Feeling』で世界初CD化された、トゥ・ロココ・ロット〜ビョーク〜Nujabesなどで名高いメロウ・サンプリング・クラシック「Clouds」の絶品ライヴ・ヴァージョンと、Gigi Masin自ら大推薦する『Wind』前後の貴重な未発表レコーディング7曲を追加した、全18曲仕様のデラックス・エディション(なのに税込2,500円というナイス・プライス!)。昨年大きな反響を呼んだアナログ・リイシュー盤とは異なり、美しいブルーのオリジナル・ジャケットを使用しており、僕などはこの色と柄でリネン生地のサマー・シャツがあったら、なんて思ってしまいます。

さらに、ポスト・ニューエイジ〜バレアリック・チルアウトとして再評価の高まったGigi Masinの現在進行形の姿を1時間以上にわたって刻印した、すでにモダン・アンビエントの伝説として語られる『Live At Superbudda』の模様を完全収録した特典CDがつくことも決定。至れり尽くせりのプロジェクトにできるよう半年間も努力したかいがあったと、来週のリリースを心待ちにしている今日この頃です。

ちなみに、『Wind』のオリジナル曲の中で、僕が最も愛してやまないのは、ピアノが奏でる美しいメロディーに柔らかなアナログ・シンセが溶けて、詩情あふれる静謐なトランペットが遠い記憶へと誘ってくれる「Tears Of Clown」。ニック・ドレイクとテリー・ライリーを敬愛するというGigi Masinらしいフォーキーなミニマリズムと、ルキノ・ヴィスコンティがヴェネチアを舞台に描いた映画『ベニスに死す』とも通底する硬質なメロウネスが溶け合うこのアルバムらしい、とっておきの名曲だと思います。ブルー・ナイル(ポール・ブキャナン)の音楽と共鳴する“蒼さ”を感じるのは、僕だけでしょうか。

「usen for Cafe Apre-midi」のセレクターのひとりであり、元カフェ・アプレミディ店長で現Bar Music店主の中村智昭が、チャンネル15周年コンピ『Music City Lovrs〜Soundtracks For Comfortable Life』のために選んだのが、『Wind』のオープニングを飾る「Call Me」であることも付け加えておきましょう。人気の「Clouds」のプロトタイプと言えるこれまた名曲で、Gigi Masin自身の物哀しいヴォーカルも聴くことができます。

少し気持ちが入りすぎて、長めの文章になってしまいましたが、“新しい室内楽”を標榜するアンビエントでありながら、聴き流すのではなく真摯に向き合いたくなる、ただただ美しいGigi Masinの音楽は、ブライアン・イーノを始めとするアンビエント・ミュージックやバレアリック通過後のチルアウト・クラブ・ミュージック好きはもちろん、ECMのファンや坂本龍一/中島ノブユキ/ゴンザレス『Solo Piano』などを愛するクワイエット・リスナーにまで、スーパー・レコメンドです。何とか今年中に彼の来日公演も実現させて(特典CDの『Live At Superbudda』を聴いてしまったら、そう願わないわけにはいきません!)、2010年がカルロス・アギーレの年だったように、2016年はGigi Masinの年にすることができたらな、と考えています。今回は、ややマニアックな話になってしまい、恐縮でした!

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5月の選盤

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メロウ・ピアノ〜モダン・アンビエント〜ポスト・ニュー・エイジ〜バレアリック・チルアウトといった観点から近年急速に再評価高まる、イタリアの生ける伝説Gigi Masinの幻の超レア名盤ファーストに、人気の「Clouds」ライヴなどボーナス8曲を追加して世界初CD化が実現した、橋本徹さん監修によるデラックス・エディション『Wind』

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トゥ・ロココ・ロット〜ビョーク〜Nujabesなどにサンプリングされ名声を博すメロウ・チルアウト・クラシックである、Gigi Masinの世界初CD化名曲「Clouds」も収録された、橋本徹さんが夕暮れどき特有のメロウな気分と心地よい叙情を美しいマジック・アワーの光景のように選曲した、珠玉のコンピレイション『Good Mellows For Sunset Feeling』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは290枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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