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2014.03.27

連載コラム【音楽のある風景】 Vol.23

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

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どうぞお楽しみください!

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3月の選曲は、今の輝きと過去の遺産を結ぶように。
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3月、卒業そして新しい始まりの季節ですね。
タモリも変わるなら、僕らも変わらなきゃ、というわけでもないですが、
カフェ・アプレミディも移転することになりました。
といっても、歩いて2〜3分のところに、ですが。
それでも、15年間にわたり馴れ親しんだ、思い出が染みこんだ場所を離れるのは名残り惜しく、
先週は連日、「さよなら公園ビル」と題してDJ&ライヴ・パーティーを開いていました。
僕の頭の中でずっと鳴っていたのは、小学生のとき初めて買ったレコードでもあるキャンディーズの「微笑がえし」。
“お引っ越しのお祝いがえしは微笑にして、とどけます♪”という気持ちだったのです。

さて、今月も僕の新作コンピレイションが登場していますので、ぜひ推薦させてください。
“2010年代のアーバン・メロウ・ミュージック”をテーマに昨年末にリリースされ、
ご好評をいただいている『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow』の、
メジャー・レーベルの音源を使った兄弟編となる『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow Supreme』です。

250枚を越える自分のコンピを振り返ってみても、これほど錚々たる顔ぶれがリアルタイムで揃ったことはちょっと記憶にない、
まさに“マイ・ベスト・2010s”と言える100%納得のいく選曲をできた一枚で、
アンビエントR&B〜モダン・フォーキーの精粋から至上のNYジャズまで、
文字通り“シュプリーム”と呼ぶにふさわしい甘美にきらめく珠玉の名作が、全20曲81分28秒にわたって大集合しています。
スタイリッシュな華やぎと、都会的なメロウネス。
新たなポップ・ミュージックの黄金期を迎えている、と僕は感じている2010年代の集大成。
ファレル・ウィリアムス〜ダフト・パンク〜ロビン・シック〜ジャスティン・ティンバーレイクなどが大ヒットする時代への、
僕なりの回答とも言えるかもしれません。

といった説明はともかく、まあ今回は、とにかく聴いてみていただけたらと思っています。
確かに“今”の空気感が奏でられているはずです。
そして同時に、今を伝えながら、過去とのつながりを大切にしたCDです。
ここに収められた音楽は、マーヴィン・ゲイ〜スティーヴィー・ワンダー〜ダニー・ハサウェイ〜テリー・キャリアーから
シャーデー〜ディアンジェロまで、ソウル・ミュージックの偉人たちの影を宿していて、
都市生活者のハッピー&ブルーに優しく寄り添います。
深く胸に沁みる歌とサウンドが、現在の輝きと過去の遺産を結んでくれるのです。
ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ/マックス・ローチ&アビー・リンカーン/ジョニ・ミッチェル/
マイケル・ジャクソン/エリオット・スミスなどのカヴァーも絶品ばかり。
聴いていると(いや選曲リストを眺めているだけで)、僕自身のイメージさえもフレッシュに更新されるようで、
嬉しくなってきます。

そしてもう一枚、久しぶりの日本人アーティストのFree Soul盤も紹介しましょう。
流麗なメロディー・センスと美しいハーモニー・ワーク、趣味のよさとある種の毒を併せもつ
独特のオリジナリティー(文学的で詩情あふれる言葉選びにも、それは表れていますね)で人気の高い、
キリンジのレーベルの枠を越えたオールタイム・ベスト・セレクション『フリー・ソウル・キリンジ』です。

街の夜景にカタカナ縦組みでタイトルをあしらったジャケット・デザインもとても気に入っていますが、
やはり2枚組31曲のすべてがグルーヴィー&メロウな名作のオン・パレード。
「双子座グラフィティ」「野良の虹」「雨を見くびるな」「かどわかされて」「恋の祭典」「君の胸に抱かれたい」などは、
曲名を書いているだけで甘酸っぱくも清々しい気分になりますし、
翳りを帯びて少し切なくなる「Drifter」〜「エイリアンズ」〜「スウィートソウル」というミディアム・チューンの連なりには、
僕が余計な言葉を挟む必要なんてないように思います。

コンパイルのオファーをいただいた瞬間から1曲目にと決めていた「今日も誰かの誕生日」の歌いだし、
“流れ星がひとつ、街のどこかに落ちた”というフレーズは、帯のキャッチ・コピーにも引用させてもらいました。
その曲の“世界は憂鬱/いつでも残酷/だけど今夜は最高”という歌詞の一節も僕は大好きで、
そのニュアンスが『フリー・ソウル・キリンジ』を貫く通奏低音になっていると考えています。
初めて聴いたとき、こんな曲をSMAPが歌ったら日本は変わるのに、とさえ思ったほど、
「今日も誰かの誕生日」は僕には重要なのです。

やはりSMAPにも歌ってほしいような「君のことだよ」や「YOU AND ME」のアーバン感、
メロウに揺れるエレピが印象的なボサ・ソウル「まぶしがりや」、兄弟それぞれのソロ作品となる「冬来たりなば」(堀込高樹)と
「燃え殻」(馬の骨)の素晴らしさについても特筆したいところですが、字数がとても足りません。
ラストに置いた「サイレンの歌」を聴き終えた後の無常感のような胸が詰まる思いも、
僕は何年たってもうまく言葉にすることができなくて、いつも残念に思っています。

いずれにせよ、好きな音楽への憧憬と豊かな音楽的背景、それに深い探究心に根ざしたキリンジの生みだす日本語のポップスに、
僕は惹かれている、ということだけはこのコラムでお伝えできたら嬉しいです。
だからただひとつ、僕が心から言えることは、とにかくとても素直な気持ちで選曲できたこのコンピレイションを、
ぜひ聴いてみてくださいということなんですね。

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3月の選盤

まさに“ベスト・オブ・2010s”と言える、2010年代を象徴する豪華な顔ぶれによる
珠玉のアーバン・メロウ・ミュージック名作集として、
橋本徹さんが選曲したコンピレイション『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow Supreme』
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流麗なメロディーと美しいハーモニー、グルーヴィー&メロウなサウンドで絶大な支持を集めていた、
堀込高樹・泰行によるキリンジ“兄弟時代”(1997年〜2013年)のオールタイム・ベスト・セレクションとして、
橋本徹さんが選曲したコンピレイション『フリー・ソウル・キリンジ』
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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは250枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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