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CATEGORY :【 Other 】
2013.02.20

連載コラム【音楽のある風景】 Vol.10

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選盤されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。
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どうぞお楽しみください!

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2月の選曲は、大切な人を想うメロウ・ドリーミンなラヴ・ソングを。
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三寒四温、冬から春へ。
この季節になると、ふと口ずさむ歌があります。
“Strollin’ in the park, watchin’ Winter turn to Spring”と歌いだされる「Feel Like Making Love」。
ユージン・マクダニエルズが書き、1974年にロバータ・フラックが歌って全米No.1ヒットさせた曲です。
恋が深まるヴァレンタイン・マンスに相応しいメロウなラヴ・ソングですね。
僕はこの曲が大好きで、これまでに思いつくだけでも自分のコンピレイションに、
マリーナ・ショウ/メタ・ルース/ジョニー・マティス/リカルド・マレーロ/ディアンジェロ/スー・ジャイルス/
サスキア・ブルーイン/ヴィヴィアン・ブクセク/ダイナミクスと、多くのカヴァー・ヴァージョンを収録してきました。

ちょうど2年前に、“サロン・ジャズ・ヴォーカル”のコンピ・シリーズを始めるときには、
この曲をひとつのモティーフとしたほどで、震災と前後したその時期に音楽について考えたことは、
今も心の中に残っています。
音楽(芸術)に携わる者なら、誰もが無力感に苛まれただろうあのときに、
それでも音楽は人を幸せにすることができる、人の心を救うことができる、と僕は信じることにしました。
そして素晴らしい音楽は、人間の生活や感情を美しくする、とも。
そうして、音楽を聴いて笑顔になる、というテーマを設けて、CDの選曲を完成させたのでした。
美しいメロディーとゆるやかなスウィングに柔らかな笑みがこぼれるような、
ハートウォームでメロウな至福のジャズ・ヴォーカルを集めて。

小気味よいボサのリズムに揺らめくエレピ、艶やかな風合いの歌声が心地よいサスキア・ブルーインの
「Feel Like Making Love」は、『寝室でくつろぐサロン・ジャズ・ヴォーカル』に収めました。
一日の終わり、穏やかな気持ちで誰もが夢見心地になれる安らぎのひととき。
そんな、ささやかだけれどかけがえのない時間に、寝るためではなく、くつろぐための音楽。
メロウ・リラクシン&メロウ・ドリーミン──あなたの寝室に小さな幸せがあふれますように、
と願うナイトキャップ・ジャズです。

その1年後、去年のこの季節には、ヴィヴィアン・ブクセクの「Feel Like Making Love」を収めた
『サロン・ジャズ・ラヴ・ソングス』がリリースされました。
こちらは、大切な人を想う切ない感情や繊細な震えを歌にしたロマンティックなラヴ・ソング集。
柔らかな灯りに照らされた天使が映されたジャケットの雰囲気そのままに、
夜が静かに深まるように心に伝わる歌声を、メロディアスでまろやかなアコースティック・サウンドが包みます。
まだまだ寒い夜、温かいものを飲みながら、本を読みながら、大切な人とお喋りしながら、
あるいは大切な人のことを想いながら、聴いていただればと思います。

そしてもう一枚、2009年に作った、その名も『音楽のある風景〜冬から春へ』も紹介させてください。
四季の移ろいを感じながら色彩豊かな感性で描かれる音楽を聴く喜びを、とスタートさせたシリーズの4枚の中で、
特に室内の情景を意識して、移りゆく季節の心象風景を表現したコンピレイションです。
とりわけ個人的に思い入れ深いのは、オープニング曲とラスト曲。
1曲目のメンタル・レメディー「The Sun・The Moon・Our Souls」は、
昨年の今頃、西麻布のクラブ「eleven」で行われたNujabes2周忌イヴェントでDJプレイしたときの、
オーディエンスとの一体感が忘れられません。
生前のNujabesはこの曲をライヴでカヴァーしていたのですが、まさに霊魂の交感というような、
不思議な力に包まれている感じでした。
宇宙の鼓動や生命の息吹、祈りや哀しみに裏打ちされた美しさが音楽に宿り、
時空を越えた銀河の奏でるハーモニーが聴こえたようでした。
最後に置いたアンドレス・ベエウサエルトの「Madrugada」にも、同じようなことが言えます。
アルゼンチンのネオ・フォルクローレの旗手による、ピアノにチェロやソプラノ・サックスが加わった
スピリチュアルな室内楽的アンサンブル、儚い浮遊感を漂わせるヴォイシングが、
たおやかな郷愁を誘う幻想的な曲ですが、その幽玄美には、メンタル・レメディーを聴いているときのような
永遠や悠久の時の流れを感じます。
耳を澄ますと、風の音や光の音が聴こえるのも、似ていますね。
その後の音楽シーンの流れの源泉になったという意味でも大きな意義をもつこの2曲が、
“宇宙と大地”を通してつながっている、そう感じてもらえたら、
僕がこのコンピレイションに託した思いはかなえられたことになります。

ちょっと力の入った文章になってしまいましたね。
実はこのコラムを書くために用意していた、春の訪れを探して夜空をさまよう恋を歌ったスタンダード
「Skylark」を集めたCD-Rを聴いて、肩の力を抜こうと思います。
アン・バートン/カサンドラ・ウィルソン/グレッチェン・パーラト/ロヴィーサ/スライディング・ハマーズ/
リサ・マックスウェル/カレン・ラノといった素晴らしい女性ヴォーカルに混じって、
グレゴリー・ポーターの歌が入っています。
とはいえ、まだ寒い今夜は、やはり「Feel Like Making Love」も。
レストランでキャンドルにかざした手をとりあって──“In a restaurant, holdin’ hands by candlelight”という感じで、
いつかハッピー・ヴァレンタインをすごしたいものですね。


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2月の選盤

寝室でくつろぐ安らぎのひとときをメロディアスにまろやかに彩る、
ハートウォームでメロウな至福のジャズ・ヴォーカルによる名曲カヴァーの数々を収録した、
橋本徹さん選曲のコンピレイション『音楽のある風景~寝室でくつろぐサロン・ジャズ・ヴォーカル』
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切なく揺れる恋心をロマンティックな歌にこめた、
親密でメロウな安らぎに満ちた女性ジャズ・ヴォーカルによる名曲カヴァーの数々を収録した、
橋本徹さん選曲のコンピレイション『音楽のある風景〜サロン・ジャズ・ラヴ・ソングス』
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冬から春にかけてのメランコリックな情景に寄り添うような
極上のサロン・ジャズやメロウ・ボサ、アコースティック・グルーヴの珠玉の名作が連なり、
季節の移ろいを美しい音楽と共に感じられる、
橋本徹さん選曲のコンピレイション『音楽のある風景〜冬から春へ』
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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは230枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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