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CATEGORY :【 Other 】
2012.07.01

連載コラム【音楽のある風景】 Vol.2

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選盤されている選曲家の橋本徹さんより
コラム【音楽のある風景】が届きました。

どうぞお楽しみください!

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6月の選曲は海辺へ向かう「ラジオのように」快適に。
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先日タクシーに乗っていたら、懐かしい声が流れてきた。
佐野元春。
彼の「SOMEDAY」がリリースされて30年になる、とカーラジオが伝えていた。

僕は高校生の頃、彼がディスクジョッキーの「サウンド・ストリート」という
FM番組を毎週のように聴いていたので、ほろ酔いの勢いも手伝って、当時のことをあれこれと思い出していた。

「SOMEDAY」は高校2年のとき、僕らの学園祭のテーマ曲にもなったから、懐かしさは尽きない。
甘酸っぱい思いが広がる。
と同時に、「SOMEDAY」のようなポップ・ソングは今あるのかな、とも思った。
僕はこの曲に宿る青くさいロマンティシズムとポジティヴィティーが好きだ。
高校生のときに聴けて(歌えて)よかった、心底そう思う。

回想にふけっていたら、高2のクラスの夏休みの集まりで、
佐野元春を歌ったことを不意に思い出して、顔から火が出そうになった。
そして、何だか自分がカラオケに行きたくなっているようなことに気づき、驚いた。
そんなことを思ったのは初めてだったから。
もちろん付き合いで行ったことは何回もあるけれど、自分から進んでカラオケに行ったことはないのに。
でも、そんなときに歌うのも、ジュリーの「勝手にしやがれ」か佐野元春の「アンジェリーナ」ということが多かった。
恥ずかしくて、テンポの早い曲しか歌えないのだ。

何か、どうでもいいような話になりつつありますね。
閑話休題。

思えば、「サウンド・ストリート」では本当に多くの音楽を知った。
ラジオで聴く音楽の魅力をティーンエイジャーの僕に教えてくれたのは佐野元春だ
(坂本龍一でも、山下達郎でも、渋谷陽一でもなく、僕が「サウンド・ストリート」を聴くのは月曜日だった)。
その割りに、僕は感謝の表現が足りないかもしれない。
同じ頃に読んだ村上春樹の「風の歌を聴け」と「SOMEDAY」が、
僕にとって80年代前半(それは青春期の始まりでもあった)の心持ちを象徴しているな、
と考えながらその夜は帰宅した。

翌日、リリースされたばかりのビーチ・ボーイズのアルバムを聴いた。
その名も『That’s Why God Made The Radio』。
前夜ぱらぱらとページを繰った「風の歌を聴け」に偶然あった
「ビーチ・ボーイズは久し振りに新しいLPを出した」という一節が木霊していた。
タイトル曲はこんなふうに歌われる。

ダッシュボードのカーラジオから最新ヒットが流れてきたら、ドライヴに行こう
神様がくれたロックンロール、恋に落ちるときのサウンドトラック
感じてごらん音楽を、アンテナを伸ばせばそこは天国
だから神様はラジオを創ったんだ、こんな夜のために

そしてアルバムの最後、僕のいちばん好きな曲でもある「Summer’s Gone」は、
すぎてしまった季節(日々)を夢見ながら、さざ波の音と共に幕を閉じる。

ビーチ・ボーイズ以外にも、今年に入ってから、
ラジオに夢を託したくなる時代の気分が反映された作品が続いている。
架空のFMをイメージしたというフォーキー&メロウAORコンピ『WTNG 89.9fm』、
ロバート・グラスパーの『Black Radio』やエスペランサ・スポルディングの『Radio Music Society』……
今週末はそんな音楽たちを「ラジオのように」聴きながら、海までドライヴしよう。天気がよければいいのだけど。

たった今、この夏は季節限定の海辺のFM局のようなコンピレイションCDを作ろう、と決意した。


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6月の選盤


暑気や湿気も快適な気分に変えてくれるグルーヴィー&メロウな選曲、
曲順や曲間も「ラジオのように」最高に気持ちよいコンピレイション
『フリー・ソウル・インプレッションズ』
fs_impressions.jpg 


海辺のドライヴや西海岸を走るハイウェイで聴くウエスト・コースト・ジャズ専門局のように、
爽やかで軽やかなコンピレイション
『ウエスト・コースト1957〜モード・ジャズ・ラウンジ』
westcoast1957.jpg


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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』
シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは230枚を越える。USENで音楽放送チャンネル
「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通り
みぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」な
どがある。
http://apres-midi.biz/
http://music.usen.com/channel/d03/

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